これまであまり描かれることのなかった、女性の心と身体のリアル。そこに、差別や偏見といった問いも自然に織り込みながら、最後はユーモアでさらりと締めくくられる本作。
観終わったあと、静かな余韻が長く残る作品でした。

※アイキャッチ画像は映画公式サイトのSNSより引用しています。
『セイント・フランシス』作品情報
製作国:アメリカ
上映時間:101分
製作年:2019年(日本公開:2022年)
レーティング:G
原題:Saint Frances
監督:アレックス・トンプソン
脚本:ケリー・オサリバン
出演:ケリー・オサリバン、ラモナ・エディス=ウィリアムズ、チャーリン・アルバレス ほか
配給:ハーク
受賞:サウス・バイ・サウスウエスト映画祭 観客賞・審査員特別賞
『セイント・フランシス』作品紹介
30代女性と6歳の少女が過ごす、ひと夏の交流を描いたヒューマンドラマです。
主演のケリー・オサリバンは、自身の経験を織り交ぜながら脚本も担当しています。
生理、避妊、中絶といった、これまで語られにくかった女性の心身のリアルを、ユーモアを添えて軽やかに描き出します。監督はオサリバンのパートナーであるアレックス・トンプソン。
オーディションで選ばれた少女フランシスを演じるラモナ・エディス=ウィリアムズの自然体の存在感も大きな魅力です。
『セイント・フランシス』あらすじ
主人公は、大学を中退し、レストランで働きながら夏の子守りの仕事を探している34歳のブリジット(ケリー・オサリバン)。子守りを任された6歳の少女フランシス(ラモナ・エディス=ウィリアムズ)、そして彼女を育てるレズビアンカップルのマヤ(チャリン・アルヴァレス)とアニー(リリー・モジェク)との出会いが、停滞していたブリジットの人生に少しずつ変化をもたらす。
『セイント・フランシス』感想・考察
ブリジットとフランシス、ひと夏の変化に寄り添う
物語はブリジットの視点で進み、彼女の揺れ動く日々が丁寧に描かれます。
・30代半ばで定職につかず…
・レストランの給仕からナニーへ
・最初は距離のあったフランシスと、少しずつ心を通わせていく
・産後鬱に苦しむマヤを気遣い、外出先で授乳を咎められた時にはとっさに守る
・アニーから人種差別や不安、嫉妬などの本音をぶつけられ、ブリジット自身も思いがけず心の内を吐露する
このように、ブリジットの日常と、ブリジットとフランシス、その家族との交流が、ごく自然に描かれます。ものすごく大きな出来事があるわけではないけど、ブリジットとフランシスのひと夏をいつのまにか一緒に過ごしていた。そう思わせられる作品でした。
気づけば感情移入していた理由
特に印象的だったのは、フランシスの新学期が始まる=ブリジットのナニー(子守り)としての役目が終わるという別れの場面。気づけば涙が出ていて、いつの間にか二人に深く感情移入していたことに驚かされました。
ブリジットの恋愛面では、年下の彼に素直になれなかったり、フランシスの習い事の先生に浮気してみたりと、軽いのが気になったり。(おばさん目線ですね)あと、割と簡単に中絶をして、その後の不調や出血が続いたりと、「もっと身体を大事に!自分を大事にして!」と思ったり(完全におばさん)。
中絶後の体調不良や出血が続く描写はとてもリアルでした。
と同時に身体のケアの大切さを改めて感じるものでした。
女性の心と身体のリアルに触れる物語
物語は、フランシスの両親がレズビアンカップルであることや、母親が黒人であることなど、偏見や差別の問題も自然に織り込まれています。家族は女性ばかりだしブリジットも女性。特にフランシスとなかなかうまくいかない最初の方は「フランシスが男の子だったら違ったのかな」と思った瞬間もあったけれど、ラストでその考えは覆されました。
ラストでの別れ際、フランシスが教室から飛び出してきて、別れを悲しむブリジットに、
「生理になったら電話するね!」と叫んで伝えるシーン。
若干6歳の女の子のセリフが、作品テーマでもありつつも、ユーモアが効いたラストで、とても良かった。
フランシスが女の子で良かったし、むしろ女の子である必要があったのかなとさえ思った。
この一言が、二人の絆の深さと、女性同士だからこそ共有できる未来を象徴しているようで、とても温かい気持ちになりました。
『セイント・フランシス』がくれた気づき
生理、避妊、中絶、産後鬱など、これまで描かれることの少なかった“女性の身体と心にまつわるデリケートな問題”を扱った本作。女性はもちろん、知る機会が少ない男性にも届いてほしいと感じる作品でした。
また、フランシスの家族が抱える偏見や差別の問題も、重くなりすぎず、でも確かに考えさせられるものでした。
ブリジットとフランシスの未来がどうか明るくありますように!と願わずにはいられないラストでした。
作品は以下から視聴・購入できます。👇
【配信で観る】
👉Amazonプライムで詳しくみる(気になった今すぐ視聴できます)
【Blu-ray・DVDを購入する】
👉DVD(Amazon)
👉DVD(楽天)
コメント