『セイント・フランシス』感想・考察|うまく生きられない日々に、少し救われる映画

これまであまり描かれることのなかった、女性の心と身体のリアル。
そこに、差別や偏見といった問いも自然に織り込みながら、
最後はユーモアでさらりと締めくくられる本作。


観終わったあと、静かな余韻が長く残る作品でした。


目次

『セイント・フランシス』あらすじ

主人公は、大学を中退し、
レストランで働きながら夏の子守りの仕事を探している34歳のブリジット(ケリー・オサリバン)。


子守りを任された6歳の少女フランシス(ラモナ・エディス=ウィリアムズ)、そして彼女を育てるレズビアンカップルのマヤ(チャリン・アルヴァレス)とアニー(リリー・モジェク)との出会いが、
停滞していたブリジットの人生に少しずつ変化をもたらす。

『セイント・フランシス』見どころ

30代女性と6歳の少女が過ごす、ひと夏の交流を描いたヒューマンドラマです。


主演のケリー・オサリバンは、自身の経験を織り交ぜながら脚本も担当しています。
生理、避妊、中絶といった、これまで語られにくかった女性の心身のリアルを、
ユーモアを添えて軽やかに描き出します。

監督はオサリバンのパートナーであるアレックス・トンプソン。


オーディションで選ばれた少女フランシスを演じる、
ラモナ・エディス=ウィリアムズの自然体の存在感も大きな魅力です。


『セイント・フランシス』感想

※少しだけネタバレあります。

ちゃんとしなきゃ、と思うほど、うまくいかない。
そんな自分に、少し疲れてしまうことはありませんか。

『セイント・フランシス』は、完璧じゃない毎日をそのまま受け止めながら、
不器用に生きる人たちをやさしく描いた作品です。

笑えるのに、どこかリアルで、少しだけ心に引っかかる。
気づけば、「これでいいのかも」と思える一本でした。


そんな「うまく生きられない自分」を抱えたまま、ブリジットは人との関わりの中で少しずつ変わっていきます。

物語はブリジットの視点で進み、彼女の揺れ動く日々が丁寧に描かれます。

・30代半ばで定職につかず…
・レストランの給仕からナニーへ
・最初は距離のあったフランシスと、少しずつ心を通わせていく
・産後鬱に苦しむマヤを気遣い、外出先で授乳を咎められた時にはとっさに守る
・アニーから人種差別や不安、嫉妬などの本音をぶつけられ、ブリジット自身も思いがけず心の内を吐露する

このように、ブリジットの日常と、
ブリジットとフランシス、その家族との交流がごく自然に描かれます。

大きな出来事があるわけではないのに、
気づけばブリジットとフランシスのひと夏を、一緒に過ごしていたような気持ちになる作品でした。

特に印象的だったのは、
フランシスの新学期が始まる=ブリジットのナニー(子守り)としての役目が終わるという別れの場面。
気づけば涙が出ていて、いつの間にか二人に深く感情移入していたことに驚かされました。

家族は女性ばかりだしブリジットも女性。
特にフランシスとなかなかうまくいかない最初の方は
「フランシスが男の子だったら違ったのかな」と思った瞬間もあったけれど、
ラストでその考えは覆されました。

別れ際、フランシスが教室から飛び出してきて、別れを悲しむブリジットに、
「生理になったら電話するね!」と叫んで伝えるシーン。

若干6歳の女の子のセリフが、作品テーマでもありつつも、
ユーモアが効いたラストで、とても良かった…。
フランシスが女の子で良かったし、むしろ女の子である必要があったのかなとさえ思いました。
この一言が、二人の絆の深さと、
女性同士だからこそ共有できる未来を象徴しているようでとても温かい気持ちになりました。

二人の未来が明るいものでありますように、と願わずにはいられないラストでした。

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『セイント・フランシス』考察

ここからは本作を少し考察してみたいと思います。

『セイント・フランシス』は、
これまであまり語られてこなかった女性の心と身体のリアルを、
ユーモアとやさしさで包みながら描いた作品です。

本作が印象的なのは、それらを特別な出来事としてではなく、
日常の延長として自然に描いている点にあると思います。
だからこそ観る側は、重いテーマでありながらも距離を感じることなく、
自分のこととして受け止める。

重くなりがちな題材でありながらどこか軽やかに感じられるのは、
ユーモアがあることはもちろん、
登場人物たちのありのままの姿を肯定しているように感じられたからかもしれません。

完璧じゃない日々や、揺れる気持ちもそのままでいいと思わせてくれる。

観終わったあとには、少しだけ肩の力が抜けて、
無理に前向きにならなくてもいい。
それでも、ちゃんと前に進んでいけると思える一本です。


🌿こんな人におすすめ

  • 頑張りすぎて、ちょっと疲れている人
  • 完璧じゃない自分を、少し受け入れたい人
  • 日常のリアルな空気感を描いた作品が好きな人
  • 笑えるけど、ちゃんと心に残る映画を探している人
  • 女性の生き方やモヤモヤに共感したい人

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『セイント・フランシス』作品情報・キャスト

製作国:アメリカ
製作年:2019年(日本公開:2022年)
上映時間:101分
レーティング:G
原題:Saint Frances
配給:ハーク
監督:アレックス・トンプソン
脚本:ケリー・オサリバン
キャスト:ケリー・オサリヴァン:ブリジット役、
ラモーナ・エディス・ウィリアムズ:フランシス役
チャーリン・アルバレス:マヤ役
リリー・モジェクウ:アニー役
マックス・リプシッツ:ジェイス役


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この記事を書いた人

映画と暮らしの中の “ちょっといいもの” を綴るブログ。

映画好きの二児の母。アラフォー/首都圏在住。

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