こんにちは!
今回は、以前からずっと気になっていた映画『君の名前で僕を呼んで』をようやく観たので、その感想を綴ってみたいと思います。
本作は、イタリアの避暑地を舞台にした、切ない同性愛の物語。夏にぴったりの美しい暮らしのなかで、切ない恋が描かれています。
今回は、同性の二人が深く「惹かれ合った理由」や「最後の電話に残された本音」についてじっくり考察していきます。
あらすじ解説
【解説】
1980年代の北イタリアを舞台に、17歳の少年と24歳の青年の、瑞々しくも切ないひと夏の恋を描いたロマンス映画。
原作者アンドレ・アシマンの小説を基に、名匠ジェームズ・アイボリーが脚本を手掛け、ルカ・グァダニーノ監督が美しい映像へと仕上げました。第90回アカデミー賞では4部門にノミネートされ、見事「脚色賞」を受賞。主演のティモシー・シャラメの出世作としても世界中で大絶賛された名作です。
【あらすじ】
1983年の夏。家族とともに北イタリアの美しい避暑地(別荘)で過ごしていた17歳のエリオは、大学教授の父親が助手として招いた24歳の大学院生、オリヴァーと出会います。
一緒に川で泳いだり、自転車で街を散策したり、気ままに本を読んだり音楽を聴いたりして過ごすうちに、2人はお互いに「特別な感情」を抱くようになり、やがて激しく惹かれ合っていきます。しかし、夏の終わりとともに、オリヴァーがアメリカへ帰国する別れの時間が近づいていて……。
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🗨️『君の名前で僕を呼んで』感想考察
※ネタバレ含みます
☀️ 憧れるしかない、理想の夏休み
緑に囲まれた古いお屋敷で、外のテラスで朝食を食べたり、気の向くままに川遊びや読書、音楽をたしなんだり。夜には涼しい風を感じながらお酒を楽しんだり……。
敷地内にある広大な果樹園に実るフルーツ(アプリコットや桃)をもぎ取って食べる暮らしは、どこかけだるい空気感がそのまま伝わってくるようでした。観ているだけで、一緒に最高のバカンスを過ごしているような贅沢な気持ちになれるような。そんな優雅な暮らしぶりを眺めているだけでも、十分に価値がある作品です。
また、劇中でとても印象的に登場する古代のブロンズ彫刻があるのですが。
普段上半身裸で過ごすエリオたちと、ブロンズ彫刻の引き締まった肉体の美しさがどこか重なるように印象的に見えます。
男性の肉体美や性に対して、濃密に意図されているかのようでした。
🏆 世界が絶賛!ティモシー・シャラメの圧倒的な演技
中でも、主人公エリオを演じたティモシー・シャラメの存在感は圧倒的でした。
もともとの表情なのか、どこか心に秘密や闇を抱えていそうな、物憂げでアンニュイな雰囲気がこの夏の物語にぴったりハマっています。
この作品が彼の初主演映画。
当時21〜22歳だったティモシーは、この演技でニューヨークやロサンゼルスをはじめとする数々の批評家協会賞で主演男優賞を総なめにし、アカデミー賞の主演男優賞にもノミネートされました。
特に凄みがあったのは、ラストシーンです。
暖炉の前に座り、大好きな人の結婚報告に絶望しながら、約4分間もの間、表情だけで様々な感情を表現し、涙を流し続けます。本当に言葉を失うほどの演技力でした。
最後の最後に、一瞬カメラと目が合うような演出にはドキッとさせられます。
悲しみと同時に強さも感じられるような眼差し。失恋という痛みを伴いながらも、前を向こうとしているかのような、様々な解釈ができる深い余韻を残すラストでした。
🧐 2人はどうしてそこまで深く惹かれ合ったのか?
ティモシーの演技や暮らしの美しさにはうっとりしつつも、実は「2人はどうしてそこまで深く惹かれ合ったのかな?」という疑問もありました。
劇中、オリヴァーはエリオに対して何を考えているのかさっぱり分からない、といったもどかしさを伝えるシーンがあります。本心が読めないミステリアスな魅力にオリヴァーが惹かれていくのは分かりますし、エリオにとっても、アメリカから来たオリヴァーの異質な存在感が気になったのだと思います。
でも、単なる興味だけなら友達で終わるか、あるいは異性に惹かれるはず。なぜ男性同士の特別な恋愛にまで結びついたのでしょうか?
鍵になるのは、オリヴァーが胸元につけているネックレス(ユダヤ人を意味する「ダビデの星」)です。エリオはこれを見て、彼が自分と同じルーツを持っていることに気づきます。
遠い国から来た全く違う世界の人だと思っていたのに、実は一番深いところで共有できる相手だった。さらにオリヴァーは、エリオの高い知性や感性を対等に分かち合える、初めての理解者でもありました。
単に「男の人が好き」なのではなく、相手がオリヴァーという「唯一無二の存在」だったから、性別を超えて惹かれ合った。そう考えると、すごく腑に落ちます。
ちなみに、当時の時代背景を考えると「親や家政婦のマファルダさんにバレないかな……」と、終始ひやひやしたのも本音です。友達以上になりかけた女の子の存在もあったので、余計にハラハラしたのはここだけの話(笑)。
🏷️ ロマンチックな「タイトルの意味」と、恵まれた環境
そして気になる、映画のタイトルである『君の名前で僕を呼んで』には、とてもロマンチックな意味が込められています。
劇中でお互いの名前を交換して呼び合う印象的なシーンがありますが、原作者のアンドレ・アシマンはインタビューで、これは「君は僕で、僕は君(You are me and I am you)」という究極の一体感を表していると語っています。
相手に自分の名前をあげるということは、自分のすべてを差し出すということ。そんなお互いの境界線がなくなるほどの深い愛を表す言葉なのだそうです。
そんな素敵なタイトルだから、2人の切ない恋を応援したくなるのですが、一方で「周りの環境が恵まれすぎているのでは」と感じる部分もあるのも正直なところで。
両親が最初から2人のことをごく自然に受け入れているのを見たときは、「なんて物分かりが良い優しい両親なんだろう…⁉」とちょっとびっくりしました。
中盤にゲイのおじいさんカップルが遊びに来て、以前もらったお土産の派手なシャツを「着なさい」とお母さんに言われるシーン(エリオは嫌そうにしていましたが、笑)がありましたよね。(実はあのシーン、ライトブルーのスーツを着ているおじさんは、原作者のアンドレ・アシマン本人がカメオ出演しているのだそう!)
エリオは最初からそういう自由で寛容な環境で育ったから、二人の恋が見守られていたのかもしれないですね。
💬 ラストのお父さんの言葉と、原作との違い
本当に、エリオの両親の対応が見事すぎるんです。息子の恋にいち早く気づき、気づいても決して詮索せずに優しく見守る。なんなら息子のために、オリヴァーとの一生の思い出になるような2人きりのベルガモ旅行までセッティングしてあげるんですよね。そして、別れて深く傷心した息子に、愛ある父親からのメッセージを伝えるという一連の流れが本当に完璧です。
そのエリオに対して、お父さんが語りかける言葉。
「痛みを葬るな。感じた喜びも忘れずに」
オリヴァ―との恋や失恋の痛みを否定せず、むしろ全肯定してくれるお父さんの優しさは、本当に素敵ですし、上記の名言は人生において誰しもに刺さる言葉だと思いました。
ちなみに、オリヴァーはお父さんの助手としてやってきた大学院生で、彼の研究テーマは古代ギリシャの哲学(万物は流転する=すべてのものは移り変わっていく)なのだそうです。この恋も「ひと夏の奇跡であり、永遠には続かないもの」という大人の諦めが、彼のどこか冷めた(ように見える)行動に繋がっていたのかもしれません。それにも関わらず、結局はエリオに強く惹かれ、本気で愛してしまった。そう思うと、余計に切なさが込み上げてきます。
実は、原作の小説とは結末が少し違うのだそうです。映画は暖炉の前でエリオが涙を流す冬のシーンで静かに幕を閉じますが、原作ではそこから20年後までの物語が描かれているのだとか。お互いに別の道を歩みながらも、20年後に再びあの別荘で再会し、過去を愛おしみながら「あの時のように、君の名前で僕を呼んで」と告げる――。
映画はその後をあえて削ぎ落とし、引き算の美しさで作られているからこそ、両親の深い優しさや、最後にエリオが暖炉の前で静かに泣くシーンの余韻が深く残るのかもしれません。
💡まとめ
本作は、夏の避暑地の憧れる暮らしが描かれていて、本当に素敵でした。
2人の恋も、同性愛という括りというよりは、同じ人間同士が性を超えて惹かれ合った物語だと感じました。
それだけに、ラストでオリヴァーから「昔から付き合っていた女性と結婚する」と電話がかかってくる展開は、本当にショックでした。
それがあってのティモシー・シャラメの超好演(暖炉の前での泣き演技)に繋がるわけですが、時代的にそこに落ち着くしかなかったんだろうなと分かってはいても、オリヴァーの本当の想いを感じきれなかった部分も…。そして形として、エリオのひと夏の性を超えた恋はここで終焉してしまったのが本当に切ない…。
美しい夏の記憶と、現実の切なさが入り混じる、とても複雑で忘れられないラストシーンでした。
最後に、その電話でも、2人はお互いの名前を呼び合っていて。そこにオリヴァーの本音があったと信じて、レビューを終えます。
👀こんな人におすすめです
- 北イタリアの美しい景色や、優雅なライフスタイルをのんびり眺めたい人
- ティモシー・シャラメの圧倒的なビジュアルと、切ない「泣きの演技」を堪能したい人
- 登場人物のファッションや、80年代のレトロでおしゃれな雰囲気が好きな人
- 恋愛の結末だけでなく、その背景にある心理や時代背景をじっくり考察するのが好きな人
『君の名前で僕を呼んで』配信・購入情報
配信
DVD/Blu-rayほか
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🎬作品情報・キャスト
🎬 作品情報
- 製作年:2017年(劇場公開日:2018年4月27日)
- 上映時間:132分 / PG12
- 製作国:イタリア・フランス・ブラジル・アメリカ合作
- 原題:Call Me by Your Name
- 監督:ルカ・グァダニーノ
- 原作:アンドレ・アシマン
- 脚本:ジェームズ・アイボリー
- 挿入曲:スフィアン・スティーブンス
👥 キャスト(登場人物)
- エリオ:ティモシー・シャラメ
- オリヴァー:アーミー・ハマー
- パールマン教授(エリオの父):マイケル・スタールバーグ
- アネラ(エリオの母):アミラ・カサール
- マルシア(マルツィア):エステール・ガレル
- マファルダ(家政婦):バンダ・カプリオーロ
- ムニール(お父さんの友人・ゲイカップル):アンドレ・アシマン(原作者)
- アイザック(ムニールのパートナー):ピーター・スピアーズ(本作プロデューサー)
【詳しい受賞・ノミネート歴】
🏆 主な受賞歴(第90回アカデミー賞)
- 【受賞】 脚色賞(ジェームズ・アイボリー)
- 【ノミネート】 主演男優賞(ティモシー・シャラメ)
※その他、ゴールデングローブ賞にてティモシー・シャラメが最優秀主演男優賞にノミネートされるなど、世界中で高い評価を受けました。
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(※リンク先の記事では作品全体の魅力を語っていますが、ティモシー演じるローリーの不器用な愛おしさにも注目して観てみると、より楽しめる作品です!)
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