今回ご紹介するのは、2002年に公開された韓国映画『おばあちゃんの家』。20周年でリバイバル上映されたほど今も長く愛される名作。
ストーリー自体は、「都会育ちのわがままな少年が、田舎のおばあちゃんと過ごすうちに心を開いていく」という、ある意味で非常にベタ(王道)なものです。
しかし、観終わったあとに残る圧倒的な余韻と、胸を締め付けられるような感動があります。本作の魅力とともに、その理由を紐解いていきます!
🎬 作品情報(データ)
- 製作年:2002年
- 製作国:韓国
- 上映時間:87分
- 原題/英題:집으로… / The Way Home
- 日本配給:ハーク
- 日本公開日:2003年3月29日(日本初公開)
- リバイバル公開日:2023年1月6日(劇場再公開)
📌 あらすじ
都会育ちの7歳の少年サンウ(ユ・スンホ)は、母親の仕事探しの都合で、会ったこともない田舎のおばあちゃんの家に預けられる。そこは電気も通じない山奥の村で、おばあちゃん(キム・ウルブン)は言葉が話せず読み書きもできない。
不自由な生活に不満を爆発させるサンウは、おばあちゃんをバカにして悪戯を繰り返す。しかし、おばあちゃんは決してサンウを叱らず、ただ静かに深い愛情で孫を包み込み続ける。
💡 3つの見どころ解説
1. 天才子役ユ・スンホの原点
今や実力派俳優となったユ・スンホの映画デビュー作です。前半の憎たらしいほどのわがまま演技から、後半の優しい表情へのギャップは必見です。
2. 演技経験ゼロが放つ、本物の温もり
おばあちゃん役のキム・ウルブンさんや村人たちは、全員が実際の現地住民です。プロの俳優には出せない、リアルで素朴な佇まいが胸に刺さります。
3. 言葉を超えた「無償の愛」
一言も話さないおばあちゃんの眼差しや後ろ姿が、何よりも雄弁に愛情を物語り「本当の優しさ」を思い出させてくれる作品です。
🎥 公式予告動画
🗨️感想 ※ネタバレ含みます
◇傍若無人なサンウの振る舞い
物語は、7歳の少年・サンウが、母親の仕事の都合で、会ったこともない山奥のおばあちゃんの家に預けられるところから始まります。
電気も水道もないおんぼろの家。外にある不便なトイレ。
都会暮らしに慣れていたサンウは不満を爆発させ、話せないおばあちゃんに対してひどい態度を取り続けます。劇中でのサンウのわがままっぷりは、観ているこちらが叱りたくなるほど。
例えば、持ってきたゲームの電池が切れて、当然お金のない祖母からはもらえるはずもなく、それでも我慢できずに家中をめちゃくちゃに漁った挙句、おばあちゃんの昼寝中に髪の毛からかんざしを盗み、勝手に売ろうとしたり。
また、出された食事もろくにとらず「フライドチキンが食べたい」と駄々をこね、孫のためにとおばあちゃんが雨に打たれながらも山を下りて鶏を探しに行き、食卓に出されたのがフライドチキンならぬ「蒸し鶏」で…。当然サンウは「こんなのフライドチキンじゃない!」とわめき蹴とばし、食べようともしない。
他にも、田舎や口のきけないおばあちゃんを軽んじる言動ばかり。
サンウの気持ちになってみると、
親元を離れ見知らぬド田舎に置いていかれた寂しさや、田舎暮らしの不便さへのいら立ちがあったのだろうと多少の理解はできます。
とは言え、やっぱり甘ったれるなクソガキ(⁉)と言いたくなる。
◇感情的にならないおばあちゃんと、際立つ「無償の愛」
しかしながら、サンウがどんなにひどいことをしても、おばあちゃんは決して怒らず、叱らず、淡々と日々を過ごしていく様子が描かれます。
おばあちゃんは言葉も話せないし、腰は深く曲がり、着ている服も履いている靴もボロボロ。決して裕福とは言えない暮らしのなかで、高齢で、環境も年齢も違う生意気なクソガキ(⁉)の世話をするのは、どれほど大変だったでしょうか。
それなのに、自分のことそっちのけで、サンウのために尽くし続けるんです(涙)
見たこともなかったチョコパイや、ピカピカのスニーカーを買い、ゲームの電池を買うためになけなしのお金をそっと用意してあげる。
そこには、文字通りの孫への無償の愛しかありません。
おばあちゃんが感情的にならないからこそ、サンウの振る舞いのひどさが余計に際立ち、同時におばあちゃんの深い優しさが、観ている側の胸に痛いほど刺さるのです。
【考察】なぜこの「ベタな物語」がこれほど感動させられるのか?
ストーリー自体は、ある意味で「よくある王道の成長物語」かもしれません。それなのに、なぜこれほど感動させられるのでしょうか。それは。
①喋らないおばあちゃんの姿が、セリフ以上に胸を打つ
おばあちゃんは言葉を発しません。だから、そこには1ミリの嘘もない。
おばあちゃんの何とも言えない困ったような表情や、深く曲がった背中や荒れた手からおばあちゃんの想いを想像します。言葉を超えた行動そのものが愛として描かれるから、圧倒的なリアリティとなって胸に迫ります。
② 祖父母からの無償の愛を思い出す
サンウは、普通なら見捨てられてもおかしくない行動を繰り返します。しかしおばあちゃんは、サンウがしたことよりも、ただ愛する娘の愛おしい子ども(孫)だからという理由で、サンウにすまないと謝ったり怒ることもなくただただ受け入れてあげるんです。
この姿は、幼い頃に祖父母から注いでもらった、見返りを求めない真っ直ぐな愛情そのものではないでしょうか。
両親とはまた違う優しさでとにかく甘えさせてくれた祖父母の多大な愛。サンウの姿に幼き頃の自分を重ね、おばあちゃんの深い優しさに心から感動してしまうのではないでしょうか。
③不器用な優しさに涙が止まらない、最高のラスト
そんなおばあちゃんの姿を見て、わがまま放題だったサンウも、だんだんと変わっていきます。
やがて不器用ながらもおばあちゃんにみせる優しさや、祖母を想う気持ちが伝わる終盤のシーンは、号泣必至です。
文字を書けないおばあちゃんのために文字を教えてあげたり、自分が去った後におばあちゃんが困らないよう「身体の調子が悪いとき」「寂しいとき」に送るためのハガキを一生懸命書いて用意してあげたり…。
そして別れ際、おばあちゃんが劇中でサンウに対して何度か見せていた、
「胸を丸く撫でるジェスチャー(ごめんね、ありがとう、愛しているの意味を込めた親愛の情だそう。)」を、
今度はサンウがおばあちゃんに返すシーンには、涙が止まりませんでした。
まとめ|自分の「おばあちゃん」を思い出す、最高のひととき
おばあちゃん役を演じたキム・ウルブンさんは、演技未経験の現地に住む女性です。だからこそ、そこで生きてきた歩みを感じる自然な佇まいが生まれ、リアリティを持って観ることができました。
本作を観て、祖母との思い出を振りかえり、今は亡きおばあちゃんに会いたくなりました。
おばあちゃんに想いを馳せたくなる一本です。
鑑賞の際はハンカチ必須です……。ぜひ。
📺 『おばあちゃんの家』配信、購入情報
配信
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👥 キャスト・スタッフ
おばあちゃん:キム・ウルブン
サンウ:ユ・スンホ
(監督・脚本:イ・ジョンヒャン)
💡 孫(サンウ)役:ユ・スンホさんの「その後」が気になる方はこちら
本作で映画初出演ながら見事な演技を見せたユ・スンホさん。当時はわがままな少年を演じていましたが、現在はその圧倒的な演技力から「国民の弟」と呼ばれ、数々のドラマや映画で主演を務める実力派のトップ俳優へと見事に成長しています!
彼が大人になってからの代表作(ドラマや『花が咲けば、月を想い』など)も動画配信サービスで見放題配信されている作品が多いため、本作を観たあとに彼の成長っぷりを追いかけてみるのもおすすめです。
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