個人的にはあまり馴染みのないフィンランド映画。
正直期待していなかったのですが、じんわり後引く良作でした。

※画像はアルバトロス・フィルム公式サイトより引用しています。
『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』作品情報
製作年:2018年 (日本公開:2020年)
製作国:フィンランド
上映時間:95分
レーティング:G
原題:Tumma Kristus
配給:アルバトロス・フィルム、クロックワークス
監督:クラウス・ハロ
出演:へイッキ・ノウシアイネン、ピルヨ・ロンカ、アモス・ブロテルスほか
『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』作品紹介
『ヤコブへの手紙』『こころに剣士を』のクラウス・ハロ監督が、手がけたヒューマンドラマです。
引退間際の老美術商が出会った作者不明の「運命の絵」。絵画に人生を捧げてきた男が、人生最後のオークションに挑む中で、 家族を顧みてこなかった自らの生き方と向き合い、 “本当に価値のあるもの”とは何かを見つめ直していく物語になっています。
『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』あらすじ
年老いた美術商オラヴィ(ヘイッキ・ノウシアイネン)は、家族よりも仕事を優先して生きてきた。
ある日、職業体験として預かることになった孫のオットー(アモス・ブロテルス)と共に、署名のない一枚の肖像画に出会う。その絵に強く惹かれたオラヴィは、作者を突き止めようと奔走し、やがて家族との距離や、自分の人生とも向き合うことになる。
『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』感想・考察
ここが面白かった
まず思ったのは、めちゃくちゃ面白いじゃないか!と。
・美術商の世界がこんなに面白いとは
普段見ることのない美術商の仕事やオークションを垣間見ることができ、めちゃくちゃ非日常を体験できること。
また、オラヴィが絵の価値や商売について語るシーンはとても興味深く、思わず聞き入ってしまうほどでした。
・オークションの緊張感に手に汗握る
オークションシーンは、どんどん値が上がり、誰がいくらで落札するのか、オラヴィは”運命の絵”を手に入れることができるのか、まさに手に汗握る展開。さらに、サインのない肖像画は本当に名画なのか、また顧客が信じて高値で買うのか否かなど、終始ドキドキし通しです…
・オラヴィ・娘・孫オットー。――揺れ動く家族の距離感
オラヴィ、娘、孫オットーの関係はどうなっていくのか。
商売一筋で家族を顧みなかったオラヴィが、孫の職業体験を受け入れたことで、ひとり娘との関係にも変化が見られます。が、距離が近づいたかと思いきや、また商売が仇に…。
娘を傷つけたその先はどうなるのかと最後まで行く末を案じずにはいられない展開でした。
世代を超えた交流が胸に沁みる
そのオラヴィはというと、実写版サンタクロースみたいな風貌で、白髪に白いお鬚に眼鏡という出で立ち。当然スマホなんて持っているはずもなく、古い手書きの顧客リストを頼りに固定電話を使うようなおじいちゃんです。それにひきかえ、15歳のオットーはコーラが大好きで自分のスマホも当然持つ超現代っ子。
そんなチグハグなふたりでしたが、オラヴィは機転が利いて賢い現代っ子のオットーに窮地を助けられます。一方オットーも、長く商売をしていて博識なオラヴィからたくさんの教えを受けます。
オットーと過ごした数日間という短い時間でしたが、そのおかげでオラヴィは疎遠になっていたひとり娘(オットーの母)の苦労と努力、またその賜物ともいえる賢いオットーの成長を知ることができたのです。
なによりも、年老いたオラヴィにとって、若く将来のあるオットーのその存在自体が希望になったのだと思いました。
サインのない肖像画が語る“謙虚さ”
そして、気になっていたサインのなかったキリストの肖像画は、聖画として描かれたものだと、ミレスゴーデン美術館から連絡があります。
キリストが描かれた絵にサインがない理由は、作者が誇示より”謙虚さ”を選んだのではないかとの見解でした。
これまでのオラヴィの最後まで仕事一筋を貫こうとした姿勢は、それはそれでかっこよいものがありました。
しかし、一方では家族のことを顧みず、一人娘の苦労さえも知らず、都合の良い時だけ頼ろうとした最後の姿はかっこよいとはお世辞にも言えませんでした。
そんな中、「運命の絵」と見込んでいたサインのない肖像画は、“謙虚さ”を示唆するものだと分かります。 その絵を前にしたオラヴィの背中からは、娘への接し方をはじめ、これまでの自分の生き方について、きっとさまざまな思いが去来していたのではないかと感じました。
『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』がくれた気づき
派手さはないのに心に残る、静かな名作
聖画の行方や、家族との関係など、ラストまでどうなるかわからず、最後の最後まで愉しめます。
決して派手さはありませんが、しみじみと心に残る良作です。
派手さより余韻を大切にしたい気分のときや、静かに浸りたいときにおすすめです。
また、親との関わり方や、自分が老いたときに自分には何が残るのか、そのために今から大事にしていくべきものを考えたくなる一本です。老いなんてまだ先だと思いたいけど、意外にあっという間でもあるとも思うアラフォーです。
そして、フィンランドのステキな街並みも眼福です!
作品は以下から視聴・購入できます。👇
【配信で観る】
👉Amazonプライムで詳しくみる(気になったらすぐ視聴できます)
【Blu-ray・DVDを購入する】
👉DVD(Amazon)
👉DVD(楽天)
コメント