陪審員制度を扱った映画といえば、日本では三谷幸喜脚本の『12人の優しい日本人』(1991年)、アメリカでは『12人の怒れる男』(1957年)が有名ですね。そんな陪審員ものの流れに連なるのが、今回紹介する韓国映画『8番目の男』です。
『8番目の男』作品情報
製作国:韓国
製作年:2019年
上映時間:114分
原題:Juror 8
配給:クロックワークス
監督:ホン・スンワン
脚本:ホン・スンワン
出演:パク・ヒョンシク、ムン・ソリ、ペク・スジャン、キム・ミギョンほか
受賞・選出:第39回韓国映画評論家協会賞 新人男優賞(パク・ヒョンシク)
『8番目の男』作品紹介
本作は、韓国で初めて国民参与裁判が導入された2008年を舞台に、年齢も職業も異なる8人の一般市民が陪審員として集められるところから始まります。実際の事件をもとに、普通の人々が“真実”に向き合おうとする姿を描いたリーガルサスペンス作品です。
主演は、本作が映画初主演となるパク・ヒョンシクさん。ドラマ『SUITS/スーツ〜運命の選択〜』や『力の強い女 ト・ボンスン』などで人気を集め、アイドルから演技派俳優へと成長した彼が、粘り強く疑問を投げかけ続ける陪審員8番を演じています。
さらに本作での演技が高く評価され、パク・ヒョンシクさんは「第39回韓国映画評論家協会賞(映評賞)」新人男優賞を受賞。長編映画デビュー作ながら、その存在感と説得力が認められた形となりました。
裁判官役には、韓国映画界を代表する名女優ムン・ソリさんが出演し、原則を重んじる厳格な裁判官として物語に緊張感を与えています。
監督・脚本を務めたホン・スンワン氏は、複数の判事への取材や膨大な裁判資料を参考にしながら脚本を作り上げたそうです。『12人の怒れる男』や『12人の優しい日本人』など、陪審裁判を扱った名作と同様に、手に汗握るサスペンスが楽しめる作品となっています。
『8番目の男』あらすじ
韓国で初めて国民参与裁判が行われる日、8人の一般市民が陪審員として選ばれる。彼らが扱うのは、証拠も証言も自白も揃った明白な殺人事件だったが、被告が突然無罪を主張し始めたことで事態が急変する。量刑を決めるだけのはずだった陪審員たちは、有罪か無罪かの判断を下す立場に立たされ、議論を重ねながら事件の真相に向き合っていく。
『8番目の男』感想・考察
作品の魅力
純粋に面白かったです。本作は被告人の側の“家族の物語”が加わっていて、より感情移入しやすい作品でした。被告とその娘、そして被害者である母親の背景が丁寧に描かれていることで、単なる法廷劇ではなく、人の人生に寄り添う物語として心に残りました。
素直に「わからない」と言える勇気
主人公であるパク・ヒョンシク演じる陪審員8号が、有罪無罪や刑罰を決める場面で「わかりません」と正直に答えるシーンがとても印象的でした。早く終わらせようとしたり、周りに合わせたりせず、素直に“わからない”と言えること。簡単なようで、実際にはなかなかできないことだと思いました。でも、人の人生を左右する重大な責任がある以上、本来はそれが当然なんですよね。
シリアスな中のユーモア
また、本作は実話に基づいた殺人事件を扱っているため重いテーマではありますが、全体のトーンは必要以上に暗くありません。ちょこちょこくすっと笑えるシーンが散りばめられていて、観やすいバランスになっています。
例えば──
・被告人の斧がキム裁判官に飛んでくる(ケガで済む)
・迷子になった陪審員8号のせいで、他の陪審員がトイレに行くたびに大の大人が全員で移動する羽目になる
・現場検証をするつもりのなかったキム裁判官が、8号の“適当”な一言に火がついて了承してしまう
・所長に怒られるかと思いきや、まさかの「最高だ!」という真逆の反応
こうしたユーモアが、重いテーマに偏りすぎないよう絶妙なバランスで効いていました。
印象的なシーン
物語の軸となるのは、被告人の罪状が有罪なのか無罪なのか、という点。
陪審員たちの性格や立場が複雑に絡み合い、議論はもつれながらも進んでいきます。
陪審員とは言え一般人の出した答えを受けて、キム裁判官が最終的にどんな結論を下すのか──そこも大きな見どころです。
特に心に残ったのは、陪審員8号がキム裁判官に問いかける場面。
「法は人を罰しないためにある。罰するには冤罪を防ぐために基準が要る。むやみに処罰できないように設けた基準が法なんですよね?」この言葉は、実は陪審員8号が面接のときにキム裁判官から教えられたものでした。裁判官自身にとっても深く響く言葉であり、刺さるものがあったのではないでしょうか。
『8番目の男』がくれた気づき
真理をつく言葉は、時に人を動かします。言葉の力って本当にすごい。そして、その言葉を受け取る側が、その意味をきちんと理解したときに初めて力を持つのだと感じました。
育児をしていると、ここぞという時に使える“良い言葉”をたくさんストックしたくなります…。というのは半分冗談ですが、相手を思う気持ちがあれば、きっと大事な言葉は届くのだと思いました。
そしてもうひとつ。「わからない」と素直に言うことの大切さ。当たり前のことなのに、実生活では恥ずかしさやプライドが邪魔をしてなかなか言えなかったりして。
でも、わからないときに“わからない”と言えることは、誠実さのひとつだと思いました。 今後、我が子にも伝えたい大切な姿勢だと思いました。
おまけ
掃除のおばさんがちょっとしたキーマンとして登場するのですが──
・判事は恨みを買っている
・迷路だって道よ
・裁判は最後まで分からない
とちょっと意味深で深い言葉を残していきます。なにげに気になるポイントでした。
それから、恥ずかしながらパク・ヒョンシクさんを初めてしっかり拝見したのですが、とぼけつつも真理をつく迫真の演技がとても光っていて、しかも長身で可愛らしいお顔。思わず胸キュンしてしまいました(死語ですね)
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