舞台を観たことはありますか。
本作は、想像以上の“舞台”を体験できる、ラスト20分が魅力です。
おしゃれで印象的な幕引きを、ぜひその目で味わってみてください。
『アプローズ!アプローズ!囚人たちの大舞台』あらすじ
売れない俳優エチエンヌは、
刑務所で囚人たちを対象にした演技ワークショップの講師を依頼される。
演目に選んだのは「ゴドーを待ちながら」。
最初はまとまりのなかった囚人たちも、
次第に舞台に向けて心を一つにしていく。
エチエンヌの情熱と囚人たちの変化は、
やがて刑務所外での公演という夢を現実に変えていく。
そして彼らの舞台は観客の心をつかみ、再演を重ね、
ついにはパリ・オデオン座での最終公演へとつながっていく——。
『アプローズ!アプローズ!囚人たちの大舞台』見どころ
刑務所の囚人たちに演技を教えることになった俳優の奮闘を描いた、
フランス発のヒューマンドラマです。
本作は、スウェーデンの俳優ヤン・ヨンソンの実体験をもとに、
実在の刑務所で撮影された作品。
演目に選ばれたのは、サミュエル・ベケットの戯曲「ゴドーを待ちながら」。
一癖も二癖もある囚人たちに向き合う中で、
エチエンヌの情熱は、囚人や刑務所の管理者たちの心を動かしていきます。
やがてその熱は広がり、
刑務所の外での公演、そして再演へ。
最終的には、パリ・オデオン座から公演のオファーが届くまでに成長していきます。
主演のカド・メラッドが見せる、
温かみのある演技も大きな魅力のひとつです。
『アプローズ!アプローズ!囚人たちの大舞台』感想
まずどうしてもお伝えたい、見どころのひとつであるラスト20分は、まさかの展開でした。
野暮ですがこれが日本で起きたらどうなるのだろうと、つい考えてしまいました。
フランスという国民性が、
この大胆でどこかおしゃれなラストを可能にしたのだろうと思いました。
とにかく印象的なラストでした。
また主人公エチエンヌの姿から、
情熱や熱意は、きちんと向けた相手には必ず伝わるのだと感じました。
難しいと思えることでも、
自分なりに意義を見出したのなら、簡単にあきらめないこと。
真摯に向き合い続けるその積み重ねが、
いつか誰かに届き、花開く瞬間につながっていくのだと思います。
そして、認めてもらえたときの喜びはやはり特別で、
同時に、そこに至るまで支えてくれた人の存在にも気づかされます。
無理を通してくれたことへのお詫びや、
支えてくれた人への感謝を忘れないこと。
そんな当たり前のようで、つい見落としがちな大切なことを、
改めて思い出させてくれる作品でした。
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『アプローズ!アプローズ!囚人たちの大舞台』考察
ここから少し本作を考察してみたいと思います。
エチエンヌの情熱と、囚人たちの変化
ラストが象徴するように、
エチエンヌの情熱は並外れたものでした。
舞台経験のない囚人たちに演劇を教えるだけでも大変なはずなのに、
彼らは皆クセが強く、抱えている背景もさまざまです。
公式サイトでも、彼らについてこう語られています。
「移民や難民、家族、人種、持病、トラウマなど様々なバックボーンを持つ“ゴドーたち”の多様性をリアルに体現している。それはそのまま現代フランス社会の一つの断面を切り取っていることに他ならない。」
そんな彼らと向き合い続ける日々は、
決して簡単なものではなかったはずです。
けれど同時に、囚人たちにとっても、
厳しくも確かな手応えのある時間だったのではないでしょうか。
最初に彼らは、
「自分たちが『ゴドーを待ちながら』をやる意味は?」と問いかけます。
その問いに対してエチエンヌは、
「自信がつく」と答える。
そして実際に、稽古を重ねるほどに彼らの表情は変わり、
舞台に立つ姿には、確かな自信が宿っていきます。
「待つ」ことが重なる瞬間
『ゴドーを待ちながら』は、
永遠に現れない“ゴドー”を待ち続ける物語です。
エチエンヌは、囚人たちもまた「待つこと」を知り尽くしていると語ります。
食事、散歩の時間、郵便、面会、夜、眠り、出所の日——。
その言葉は、
彼らの現実と戯曲が重なり合う瞬間でもありました。
ただ演じるのではなく、
自分たちの人生そのものを重ねていく。
だからこそ、この舞台には
他にはないリアリティと説得力が生まれていたのだと思います。
圧巻で、おしゃれすぎるラスト
そして迎えるラスト。
期待通りでもあり、
良い意味で裏切られたようでもあり、
とにかく圧巻でした。
一瞬、囚人たちに対して“正論”を言いたくなる気持ちもよぎります。
けれど、それを口にするのは野暮だと思わせるほど、
あまりにも美しく、おしゃれな幕引きでした。
実話に基づく物語だという事実も含めて、
思わず「なにこれ、おしゃれ…」と言ってました。
このラスト20分は、ぜひ体験してほしい。
そう思わせてくれる作品でした。
memo.
一生懸命やれば、誰かが見ていてくれる。
まとめ|『アプローズ!アプローズ!囚人たちの大舞台』がくれたもの
過去は変えられなくても、
これからの時間は少しだけ変えられるのかもしれない。
大きな変化ではなくても、
人と向き合うことや、何かに本気で向き合う時間が、
人生を少しずつ動かしていく。
『アプローズ!アプローズ!囚人たちの大舞台』は、
そんな静かな希望を感じさせてくれる作品でした。
🌿こんな人におすすめ
・人と関わることのあたたかさを感じたい人
・何かにもう一度向き合いたいと思っている人
・余韻の残る作品が好きな人
『アプローズ!アプローズ!囚人たちの大舞台』配信・購入情報
【配信】
【DVD/Blu-ray】
※状況によって変わることがあります。
『アプローズ!アプローズ!囚人たちの大舞台』作品情報・キャスト
製作国:フランス
製作年:2020年(日本公開:2022年)
上映時間:105分
レーティング:PG12
原題:Un triomphe
配給:リアリーライクフィルムズ
監督:エマニュエル・クールコル
キャスト:カド・メラッド(エティエンヌ役)
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