映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』レビュー|前半と後半で物語が大きく動く、印象深い一作

年末になると「今年観てよかった映画」の話題をよく耳にしますよね。その中で、タイトルの長さが妙に気になった作品があり、観てみることにしました。前半と後半とで展開が大きく変わるストーリーが印象的でした。

※アイキャッチ画像は公式サイトより引用しています。

目次

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』作品情報

製作国:日本
製作年:2024年(公開2025年)
上映時間:127分
区分:G
配給:日活
受賞・選出:第37回東京国際映画祭コンペティション部門
監督:大九明子
原作:福徳秀介
脚本:大九明子
出演:萩原利久、河合優実、伊東蒼、黒崎煌代ほか

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』作品紹介

人気お笑いコンビ・ジャルジャルの福徳秀介の小説家初作品を、
『勝手にふるえてろ』『私をくいとめて』の大九明子監督が映画化。
原作者・福徳さんの母校である関西大学を舞台に、さえない毎日を送る主人公の大学生と、お団子頭のヒロインとの出会いが描かれます。

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』あらすじ

大学生活に馴染めず、どこか物足りない日々を送っていた小西徹(萩原利久)。
ある日、凛とした雰囲気をまとった桜田花(河合優実)と出会い、自然に心を通わせていく。
何気ない会話の中で桜田が口にした「毎日楽しいって思いたい。今日の空が一番好きって思いたい」という言葉は、
徹が大切にしていた亡き祖母の言葉と同じだった。
運命のような出会いに胸を躍らせる徹だったが、二人の関係を揺さぶる出来事が静かに近づいていた。

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』感想・考察

前半は“恋の始まりを感じさせるような展開”、後半は一気に物語が深まる

切ない系のピュアなラブストーリーかと思いきや、後半で思いがけない展開が訪れます。
前半に散りばめられていた伏線が一気に回収され、物語の構成力に驚かされました。

さっちゃんの告白シーンが胸に刺さる(伊東蒼)

特に印象深かったのが、伊東蒼さん演じるさっちゃんの告白シーン。

さっちゃんと小西は銭湯のアルバイト仲間。
片想いだと間接的に知りながら、それでも気持ちを抑えきれずに思いの丈をぶつけます。

長台詞のシーンなのに飽きることはなく、「好き」という気持ちが、一言では伝えきれないもどかしさと熱量とがそのまま伝わってくる。
相手の気持ちが自分にないと分かった上での告白は、とてつもなく切なく、見ていて胸が痛くなるほどでした。

「いきなり言われても困るよね。自分の失敗例を参考にして。自分みたいに隠しすぎてもいけないし…」
と、溢れ出る感情を抑えきれない様子もリアル。

そして何より心に残ったのが、この一言。
「自分のいないところで自分のことを思い出してほしかった」

沢山の紡がれた言葉の中でのさっちゃんの伝えたかった素直な気持ちが伝わって、本当に切なかった。

去り際に「バイバイ」と少し声を震わせながらも明るく振る舞う姿もとても印象的で、
伊東蒼さんの演技力に圧倒されました。

喪失の描写があまりにもリアル

もうひとつ、人を失うことのリアルな描写が印象的でした。
「泣くことが痛い」
「命はほんまにひとつなんですね」

この言葉がとても生々しく表現されていて、胸にずっしりと残りました。

後で知ったのですが、原作者の福徳さんは高校生の頃にお父さんを交通事故で亡くされているそうで、
実体験が反映されているのかもしれない、と勝手ながら感じてしまいました。

それほど、とてもリアルな描写で、
悲しさと一言では表せないほどの辛さや絶望的な悲しみが伝わるシーンでした…。

河合優実さんの演技も圧巻でした。

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』がくれた気づき

ラブストーリーだと思って観ていたら、
後半で一気に感情が揺さぶられ、しばらく整理が追いつかなかったです。
登場人物の声だけが聞こえる演出や、急なアップなど、独特な撮り方も印象的。
観終わったあとにじわじわ残る不思議な余韻があります。
ラストシーンの主人公の行動には「そのタイミングで?」と思う部分もありましたが、
学生である主人公の若さを思えばなのかな…。

そして、言わずもがな劇中のスピッツの曲がとても良かった。
色々な感情がわく中で、曲がまた余計に感情に拍車をかけていたように感じました。

観終わったあと、しばらく心の中に静かに残り続ける作品でした。

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この記事を書いた人

映画と暮らしの中の “ちょっといいもの” を綴るブログ。

映画好きの二児の母。アラフォー/首都圏在住。

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