映画『八月のクリスマス』レビュー|生と死の対比が泣ける名作

クリスマスが近づいてきましたね。クリスマスの華やかなイメージとは一風変わっているけど、大好きな作品をご紹介します。しんみりするけど、心の中がじんわり温かくなる、寒い冬にお勧めの映画です。

※本記事のアイキャッチ画像は、公式DVD商品ページで公開されている宣伝素材を引用しています。

目次

『八月のクリスマス』概要

韓国/97分/1998年/監督:ホ・ジノ/出演:ハン・ソッキュ、シム・ウナ
不治の病で余命わずかの青年が、交通警官の女性と出会い、互いに惹かれ合っていくラブストーリー。
本作をリメイクした日本版(山崎まさよし主演)が2005年に公開。

『八月のクリスマス』あらすじ

不治の病に侵された青年ユ・ジョンウォン(ハン・ソッキュ)が営む写真館に交通警官のキム・タリム(シム・ウナ)が急ぎの現像を持って来店する。それ以来、タリムは写真館にやって来ては、ジョンウォンとたわいもないおしゃべりをしたりして交流を深めていく。

『八月のクリスマス』感想・考察

■ ジョンウォンの“死を前にした静かな揺らぎ”

余命わずかでどこか憂いのあるジョンウォンに対して、病のことを何も知らないタリムが若さと恋する気持ちも手伝って、とても輝いています。その対比が、淡々と描かれたいて、より切ないんです。

ジョンウォンが酒を飲み、酔って友に「もう長くは生きられない」と打ち明けたり、交番で「静かにしろ」と言われ、抑えていた気持ちが溢れ出てしまったり。
また、雷が鳴って孤独で眠れない夜、父親の布団にもぐりこんで一緒に寝たり、自身の死後皆が困らないようにと身の回りや写真館の整理を淡々としたり、自ら遺影を撮ったり…。
ジョンウォンの寂しさと悲しみが痛いほど伝わります。


■ タリムの“未来ある明るさ”との対比が切ない

一方で、タリムはジョンウォンを”おじさん”呼びしたり、ジョンウォンに「なぜ結婚しないの」「誕生月は八月でしょう?獅子座は自分と相性がいい」と明るく無邪気に話しかけます。
ジョンウォンとの未来を思い描いているかのように。

このように、ジョンウォンの、死を前にして悲しみが溢れたりまだ死にたくないという心の表れや、
それでも死を覚悟せざるを得ない行動と、
タリムの何も知らない未来ある明るく無邪気な行動や心理が、対照的で本当に切ない。
ジョンウォンのどこか憂いのある優しいまなざしと、タリムのいきいきとした生気ある笑顔。
惹かれ合う者同士なのに、その云わば、生と死の落差に、思わず胸がつまされます。

まとめ

最後に、ジョンウォンが、愛を胸に秘めたまま旅立つことができると、タリムへ感謝の気持ちを綴るシーンがあります。
死を前にひとり孤独にあるなかで、愛する人ができた喜びやその存在が心の中を温かくしてくれたのだと思いました。愛する人や守りたい存在、大事な記憶、そんなものを改めて見返したり大切にしたくなる本作です。

余談ですが、『八月のクリスマス』というタイトルは、八月=夏と、クリスマス=冬といった対比と同様に、悲しみの中にもユーモアがあり、ユーモアの中にも悲しみがある。
そういった相反するものがぶつかった時に生まれる情緒的な意味も込められたものだそうです。
色々と味わい深い本作です。ぜひ。

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この記事を書いた人

映画と暮らしの中の “ちょっといいもの” を綴るブログ。

映画好きの二児の母。アラフォー/首都圏在住。

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