映画『私の頭の中の消しゴム』大人になった今、再鑑賞して気づいた切なさと現実

Amazonプライム・ビデオでの見放題配信がもうすぐ終了するとのことで、久しぶりに名作韓国映画『私の頭の中の消しゴム』を再鑑賞しました。

キャッチコピーは、「死より切ない別れがある」。

公開当時に観たときは、感動して嗚咽するほど号泣した記憶があります。そして今回もやはり涙なしでは観られませんでした。しかし、歳を重ねた今だからこそ、当時とはまったく違う見方をしている自分もいました。

今回は、時間を経てみた視点で改めて本作の魅力を紐解いていきたいと思います。

目次

『私の頭の中の消しゴム』あらすじ

建設会社の社長の娘スジン(ソン・イェジン)は、建築家志望のチョルス(チョン・ウソン)と出会って恋に落ちて結婚、幸せな新婚生活を迎える。だが、しばらくするとスジンは物忘れがひどくなり、自分の家への道順も忘れてしまうようになる。病院で診察を受けたスジンは、若年性アルツハイマー症だと診断される。


【ネタバレあり】大人になった視点で観た私の感想

今も刺さる感動作

建設会社の社長令嬢であるスジンと孤独な大工のチョルス。育った環境は正反対の二人でしたが、運命的に惹かれ合い、周囲の反対を乗り越えて幸せな結婚生活をスタートさせる。その後建築士の試験に合格したチョルスとともに、輝かしい未来へ歩み始めた矢先、あきらかになるスジンの病気。

病状は進行し、ついに夫であるチョルスの顔や名前さえも忘れてしまうスジン。絶望に打ちひしがれながらも、チョルスは「俺が君の記憶になる」と誓い、彼女を献身的に愛し続けます。記憶を失っていく恐怖と、それを超える二人の深い絆が涙を誘う感動の名作です。


若い頃に観たときは、ただただ二人の美しさと絵になる恋に憧れていたような感覚があった気がします。大人になった今観返すと、その計算のない純粋な輝きが眩しすぎて、それだけで胸がいっぱいになります。


また、互いを見つめる目線や、他愛のないやり取り。あの前半のキラキラした日常は、決して当たり前のものではないんだと今の年齢だからこそ深く噛みしめてしまいます。

結末を知っているからこその切なさ

今回は再鑑賞ということもあり、スジンが病にかかっていく展開をあらかじめ知っている状態で観ました。そのため、前半の二人の幸せなシーンがとにかく切なく、初見のとき以上に胸を締め付けられました。

そして何度観ても、医者から宣告された言葉と、スジンがチョルを前の恋人と間違えてしまうシーンは、切なくて涙なくしては観られません…

親になって初めて分かった「父親目線」

今回地味に大きな変化だったのが、親としての視点です。
スジンがレストランの外で倒れてしまい、恋人のチョルがものすごい速さで助けに向かって介抱するシーン。その様子を、父親は彼の後ろでただ見守るしかできません。
本当は自分が真っ先に娘を救いに行きたいけれど、「もうその役目は自分ではないのだ」と察しているような、一歩引いた佇まい。親としての寂しさと切なさが痛いほど伝わってきて、とても胸が苦しくなったシーンのひとつです。

愛だけでは語れない現実

話を二人ベースに戻します。
病気になっても愛し続けるという純愛が描かれる一方で、どうしても脳裏によぎってしまうのが“介護”という現実でした。

「アルツハイマー症」は、昔は遠い世界の病気のように感じていたのに、今はニュースや身近な出来事として耳にする機会も増え、悲しいかな、以前よりずっと現実味があります。
そのため、映画としてのラストは美しく愛に包まれた二人の画で収められているものの、「実際は綺麗事だけでは済まないのでは……」「この先、二人はどうなってしまうのだろう」という、少し冷めた現実的な視点で観てしまった自分もいました。

「もし自分がスジンの立場だったら?」
「もし遺されるチョルの側だったら?」


大事な人の記憶がなくなっていくと知ったら自分ならどうするか。自分の記憶がなくなるとしたら介護を愛する人に任せてまでも一緒にいていいのだろうか。
若い頃なら簡単に出せていたかもしれない答えが、今となっては重く、非常に難しい問いのように感じられました。

理想と現実の間で

本作のキャッチコピーに、「死より切ない別れがある」とあります。
今回、この言葉がアルツハイマー症を端的に表現していると痛感しました。

年老いて発症するものと、若くして発症する「若年性」のものとでは、その違いはあまりにも大きいです。
記憶を失っていくことは一番辛いことですが、それは愛する人との記憶だけではありません。自分自身のこと、周りの人のこと、季節感や時刻やその他日常生活におけるありとあらゆる記憶や認識が薄れていき、最終的にはすべてが分からなくなっていきます……。

「そうしたことまでも、本当に愛だけで背負えるのだろうか」

大人になった今、この映画を観てそんな現実を考えてしまいました。
でも、そこで逃げてしまう自分なら、本当に相手を愛していないことになるかもしれない——。そんな割り切れない矛盾の中で葛藤しながらも、希望を込めて、理想的な答えはやっぱりあの美しい映画のラストに委ねたくなりました。


『私の頭の中の消しゴム』見どころ

運命的な恋を描く名シーンの数々
コンビニのコーラや居酒屋の「これを飲んだら付き合う」など、映画史に残るロマンチックな演出が前半に散りばめられています。

チョン・ウソンの渋すぎる大人の色気
ワイルドで頼りがいがあり、すべてを包み込むような優しさを秘めた「深い眼差し」には、誰もが一瞬で引き込まれます。

『パラサイト』に抜かれるまで15年間、日本記録を保持した大ヒット作
実は日本のドラマが原作。公開後は興行収入30億円を突破し、日本における韓国映画ブームの原点となった歴史的名作です。


『私の頭の中の消しゴム』はこんな人におすすめ!

  • 最近、心が動く映画に出会えていない方(絶対に涙活できます)
  • 公開当時に観て、しばらく再鑑賞していない大人世代の方(視点が変わって二度楽しめます)
  • 王道の純愛ラブストーリーでどっぷり泣きたい方
  • チョン・ウソンのワイルドな大人の色気に浸りたい方

『私の頭の中の消しゴム』 配信・購入情報

配信で観る

DVD/Blu-rayを購入

※Amazonプライム会員の方は、追加料金なしで見放題対象の場合があります(初回30日間無料体験あり)。
※各サイトの配信状況、価格、在庫状況は時期によって変わることがあります。最新の情報は各リンク先にてご確認ください。


『私の頭の中の消しゴム』作品情報・キャスト

2004年製作/117分/韓国
原題または英題:A Moment to Remember
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
劇場公開日:2005年10月22日
監督:イ・ジェハン
脚本:イ・ジェハン
キャスト:
チョン・ウソン
ソン・イェジン
ペク・チョンハク

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この記事を書いた人

映画と暮らしの中の “ちょっといいもの” を綴るブログ。

映画好きの二児の母。アラフォー/首都圏在住。

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